2024.01.10
ステンレス加工の基本と応用:加工方法や用途について
ステンレス鋼とは、鉄を主成分とし、炭素を1.2%以下、クロムを10.5%以上含んでいる合金鋼です。
ステンレス鋼は英語では「stainless steel」と表記され、「stainless」は「錆びない」とい意味を持っており、錆びやすい鉄に代わる金属として発明されたと言われています。
ステンレス鋼は、食器や家電、パソコンなど生活に身近なものから、医療器具や航空機部品など専門分野で使用するものまで、広範囲において用いられている金属の一種です。
ステンレス鋼は、その耐食性、強度、耐久性などの特性から、さまざまな用途に利用される金属材料です。その加工には独自の注意点があり、適切な技術が求められます。以下では、ステンレス加工の基本的な内容から応用までを解説します。
ステンレス鋼の特徴
- 耐食性: クロムを含むため、錆びにくい。
- 強度: 高い強度を持ち、軽量化にも適する。
- 美観: 表面仕上げにより光沢を持たせられる。
- 非磁性: オーステナイト系(SUS304など)は磁性を持たない。
ステンレス加工の基本方法
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切削加工
- 旋盤・フライス盤での加工が一般的。
- 難削材であるため、工具には高硬度材料(超硬工具やセラミック工具)を使用。
- 加工時には低速回転と適切な冷却材が重要。
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溶接
- TIG溶接やMIG溶接が一般的。
- 熱影響部が硬化しやすいので、熱管理が重要。
- SUS304などのオーステナイト系は溶接後に歪みが発生しやすいため、適切な治具を使う。
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研磨
- 表面仕上げにより機能性や美観を向上。
- ヘアライン加工(細かな直線模様)や鏡面仕上げが代表的。
- 酸洗い・電解研磨も利用される。
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プレス加工
- 曲げ加工や絞り加工で形状を形成。
- 板厚や種類に応じた適切な金型が必要。
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レーザー加工
- 高精度な切断や穴あけ加工が可能。
- 熱変形を抑えるため、レーザー設定の調整が重要。
ステンレス加工の注意点
- 熱膨張: 加熱により膨張しやすく、溶接時に歪みが生じやすい。
- 加工硬化: 加工中に硬化しやすく、加工後の修正が困難。
- 工具寿命: 難削材のため、工具の摩耗が速い。
ステンレスの用途
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建築
- 外壁材、手すり、エレベーターパネル。
- 耐候性や美観を活かす用途。
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家庭用品
- 鍋やフライパン、包丁。
- 衛生面に優れるため調理器具に適している。
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医療機器
- 手術器具、人工関節。
- 耐腐食性と生体適合性が必要な分野。
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食品産業
- 貯蔵タンク、パイプライン。
- 清掃性と耐腐食性が求められる環境。
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産業機械
- ポンプやバルブ、エンジン部品。
- 高温・高圧条件下での使用。
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ステンレス加工技術の進化
近年では、3DプリンティングやCNC(コンピュータ数値制御)加工技術を活用し、より複雑な形状や高精度な部品の製造が可能になっています。また、耐食性をさらに高めるための表面処理技術も進化しています。
ステンレス加工は専門知識と熟練した技術が必要ですが、適切な方法を選択することで多様な用途に対応できます。
また、ステンレス鋼加工をご依頼する予定の方には、高精度・高品質・短納期が期待できるので、ぜひ一度、京都機械商事へお問い合わせ頂ければ合わせて頑張って行きます。
部品調達にお困りでしたら、お気軽にお問い合わせください。