製造業や機械加工の分野では、部品の品質を左右する重要な要素の一つとして「表面粗さ」が挙げられます。表面の微細な凹凸は、部品の性能や寿命に大きな影響を与えるため、適切な管理と測定が求められます。
本記事では、表面粗さの基本的な概念、測定方法、加工技術について詳しく解説します。
目次
1.表面粗さの基本
- Ra(算術平均粗さ)
- Rz(最大高さ粗さ)
2.表面粗さの記号とその変遷
3.表面粗さを決める加工方法
- 研削加工
- 研磨加工
- 機械加工
4.表面粗さの測定方法
- 接触式測定
- 非接触式測定
5.まとめ
1. 表面粗さの基本
表面粗さとは、加工された部品の表面の凹凸の度合いを示す指標です。見た目では滑らかに見えても、顕微鏡レベルで見ると細かな起伏が存在します。表面粗さを適切に管理することで、部品の性能や耐久性を向上させることができます。
代表的な表面粗さの指標
▶ Ra(算術平均粗さ)
測定した表面の凹凸の平均値を示す指標で、最も一般的に使用されます。
Raの値が小さいほど表面が滑らかであることを意味します。
▶ Rz(最大高さ粗さ)
測定範囲内での最も高い点と最も低い点の差を表す指標です。
Raよりも局所的な粗さの影響を受けやすい指標となります。
2. 表面粗さの記号とその変遷
表面粗さを指定する際には、JIS(日本工業規格)による記号が用いられます。
以前は三角形の記号(▽)で粗さを表していましたが、現在は数値表記へと変更されました。
旧規格の図面では三角記号が残っていることもあるため、確認が必要です。
3. 表面粗さを決める加工方法
表面粗さは、加工方法によって大きく変わります。
以下に代表的な加工方法を紹介します。
▶ 研削加工
砥石を用いて表面を削る方法で、高精度な仕上げが可能です。
特に硬い材料の加工に適しています。
•研削:砥石を回転させながら加工する一般的な方法。
•ラッピング:研磨剤を含んだ液体を使って表面を滑らかにする方法。
▶ 研磨加工
バフや化学反応を利用して表面を滑らかにする方法です。
•バフ研磨:布製のバフで磨く方法。光沢のある仕上がりが特徴。
•電解研磨:電解液を使い、化学的に表面を溶解して仕上げる方法。複雑な形状にも対応可能。
▶ 機械加工
切削工具を用いて金属や樹脂の表面を削る加工方法。
•旋盤加工:円筒形の部品を回転させながら削る加工方法。
•フライス加工:刃物(フライス)を回転させながら加工する方法で、平面や溝の加工に適している。
4. 表面粗さの測定方法
表面粗さを測定する方法には、大きく分けて「接触式測定」と「非接触式測定」があります。
▶ 接触式測定(評価型表面粗さ測定機)
触針(プローブ)を表面に接触させて測定する方法。触針が表面をなぞることで、凹凸のデータを取得します。
•メリット:測定データの精度が高く、明確な形状波形が得られる。
•デメリット:触針が試料に微細な傷をつける可能性がある。
▶ 非接触式測定(ワンショット3D形状測定機)
光やレーザーを使って表面を測定する方法。試料に触れることなく、短時間で測定が可能です。
•メリット:試料を傷つけず、高速かつ高精度な測定が可能。反射率の高い材料にも対応。
•デメリット:測定環境や素材によっては、データの精度が影響を受けることがある。
5. まとめ
表面粗さは、機械部品の性能や耐久性を左右する重要な要素です。適切な加工方法と測定技術を活用することで、製品の品質向上につながります。
表面粗さの管理が重要な理由
•摩擦と摩耗の低減:滑らかな表面は摩擦を減らし、部品の寿命を延ばす。
•密封性の向上:表面が滑らかだと、気密性が向上し、漏れを防ぐ。
•美観の向上:製品の見た目が良くなり、消費者向け製品の品質感が向上。
部品の用途や必要な性能に応じて、適切な表面粗さを選定・管理することが重要です。表面粗さ測定の技術を活用し、品質の高い製品作りを目指しましょう。
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