2024.02.02

放電加工とは?仕組み・種類・メリットをわかりやすく解説|初心者向け完全ガイド

放電加工(EDM:Electrical Discharge Machining)は、金属加工の中でも高精度・高硬度の材料に対応できる重要な加工技術です。特に金型や医療機器、航空機部品など、微細・複雑な形状を必要とする分野で幅広く活用されています。

この記事では、放電加工の仕組みから種類、メリット・デメリット、そして最新技術や具体的な応用事例まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。


この記事はこんな方におすすめ

  • 放電加工の基礎知識を身につけたい方

  • 加工方法を選ぶ際に放電加工との違いを理解したい方

  • EDMの最新動向や実際の活用事例を知りたい技術者の方


1. 放電加工とは?原理と仕組み

放電加工とは、電気的な火花放電による熱エネルギーを利用して金属を除去する非接触加工法です。

放電加工の仕組み

加工対象(ワーク)と電極を絶縁液(放電液)の中で近づけ、一定の電圧をかけると、両者の間で放電が発生。その際の高温によって、ワークの表面が局所的に溶融または蒸発して削られます。

この工程を繰り返すことで、非常に硬い材料や複雑な形状も高精度に加工することが可能です。


2. 放電加工の主な種類と特徴

放電加工には大きく分けて以下の2種類があります。

2-1. ワイヤーカット放電加工

細い金属線(ワイヤー)を電極として使用し、金属を切断・加工する方法。複雑な輪郭や精密な形状を再現できます。

  • 特徴:高精度、高直線性、曲線加工が可能

  • 用途例:プレス金型、電子部品、試作部品の加工など

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2-2. 穴あけ放電加工(形彫り放電加工)

棒状の電極を使って、微細・深穴を加工する放電加工法。ドリルでは不可能な位置や材質にも対応可能。

  • 特徴:小径・深穴加工に最適

  • 用途例:燃料ノズル、冷却穴、インジェクター部品


3. 放電加工のメリットとデメリット

3-1. メリット

  • 高精度:微細・複雑な形状でも精密加工が可能

  • 高硬度材料対応:チタンや超硬合金なども加工可能

  • 非接触加工:工具とワークが接触しないため変形なし

  • 表面仕上げが良好:滑らかな仕上がりで後加工が少ない

 

3-2. デメリット

  • 加工スピードが遅い:大量生産には向かない

  • 加工コストが高い:専用設備・電極の製作が必要

  • 熱変形のリスク:条件によって熱影響層が残る可能性


4. 放電加工と他加工法との違い

比較項目 放電加工 電解加工
原理 火花放電による熱除去 電気化学反応による溶解
特徴 非接触、高硬度対応 均一・高速加工に強い
向いている用途 金型、精密部品 大量生産、表面加工
デメリット 低速、コスト高 導入コスト高、制限あり

5. 放電加工の活用分野と応用事例

自動車業界

エンジン部品や噴射ノズルなどの高精度部品の加工に活用。

航空宇宙産業

耐熱合金のタービンブレードや構造部品の精密加工に適用。

医療機器

人工関節やインプラントなど微細で高精度な部品に使用。


6. 最新技術と今後の展望

電極無消耗回路の進化

電極の摩耗を最小限に抑える技術が登場。加工精度・ランニングコストが大幅改善。

AIによる加工条件の最適化

AIがリアルタイムで放電条件を調整し、加工品質の安定と時間短縮を実現。


7. 放電加工を導入する際のポイント

  • 設備選定:ワイヤー放電か穴あけか、用途に応じた機種選びが重要

  • 技術者の育成:専門知識が求められるため、熟練者の確保・育成が鍵

  • 加工条件管理:電極・放電液・電圧などのパラメータを細かく調整することで精度向上


✅ まとめ|放電加工は精密加工の最先端技術

放電加工は、金属加工の中でも高精度・高硬度対応・複雑形状対応という点で非常に優れた加工法です。加工速度やコストには注意が必要ですが、技術革新によりこれらの課題も徐々に克服されつつあります。

AIや自動化の導入により、今後ますます注目される加工技術になるでしょう。


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