【徹底比較】NC旋盤と汎用旋盤の違いとは?切削工具の選び方と材質別加工ポイントも解説
旋盤加工は金属部品の製造に欠かせない基盤技術です。
特にNC旋盤と汎用旋盤の違いや、切削工具の選定、素材ごとの加工ポイントを理解することは、高精度かつ高効率な生産の鍵を握ります。
本記事では、旋盤加工の現場でよく取り上げられる疑問に答えつつ、わかりやすく解説します。
目次
- 旋盤加工とは?基礎を再確認
- NC旋盤と汎用旋盤の違いを徹底解説
- 切削工具の正しい選び方
- 材質別の加工ポイントと注意点
- まとめ:最適な旋盤加工を実現するには?
1. 旋盤加工とは?基礎を再確認
旋盤加工とは、円筒形の素材を回転させ、刃物(バイト)を当てて不要な部分を削り、目的の形状へ仕上げる切削加工です。
外径加工、内径加工、端面加工、ねじ切り加工など多彩な用途に対応可能で、自動車、建設機械、航空機、医療機器、エネルギー分野など広範な産業で活用されています。
2. NC旋盤と汎用旋盤の違いを徹底解説
NC旋盤(Numerical Control旋盤)とは?
NC旋盤は、コンピュータ制御によって自動で加工を行う高精度な旋盤です。
以下のような特徴があります。
- プログラム制御により再現性が高く、大量生産に向いている
- 段取り時間が短縮され、生産効率が高い
- 複雑形状や連続加工も容易
- オペレーターの技能差をカバー可能
汎用旋盤とは?
汎用旋盤は、熟練オペレーターが手動で操作するタイプの旋盤です。
以下のような特徴を持ちます。
- 小ロット・多品種生産に最適
- 手作業による微調整や突発対応が可能
- 初期投資が少なく、導入しやすい
- 職人の技術が品質に直結
比較表:NC旋盤と汎用旋盤


項目 | NC旋盤 | 汎用旋盤 |
---|---|---|
操作方法 | 自動制御(プログラム) | 手動操作 |
加工精度 | 高精度、再現性が高い | 職人の技量に依存 |
生産効率 | 高い | 比較的低い |
初期コスト | 高い | 低い |
向いている生産形態 | 量産 | 試作・少量生産 |
3. 切削工具の正しい選び方
旋盤加工の品質やコストに大きく影響するのが、切削工具の選定です。
誤った選定は工具寿命の短縮や加工精度の低下につながります。
主な切削工具の種類
- チップ式バイト:量産品に多用。交換が簡単で経済的。
- ハイスバイト:手仕上げや汎用旋盤に適しており、加工に柔軟性がある。
- ねじ切りバイト:JIS規格などに対応したねじ山加工に使用。
- ドリル・ボーリングバー:内径加工・穴あけに必須。
選定ポイント
- 加工する材質に合った工具材質を選ぶ
- 鋼材には超硬合金やコーティング付きチップ
- アルミにはポリッシュチップなど低摩擦な工具
- 目的に応じた形状・先端角度を選ぶ
- 面粗度を重視するなら仕上げ用バイト
- 荒加工なら高送り対応バイト
- 切削条件に合わせた耐摩耗性・耐熱性を確認
- 高速切削には耐熱性重視
- 長時間加工には耐摩耗性重視
4. 材質別の加工ポイントと注意点
素材の特性によって、切削条件や工具の選定は大きく異なります。
以下に代表的な材質とその加工ポイントをまとめました。
鋼(S45C、SCM435など)
- 切削抵抗が高いため剛性のある工具が必要
- 潤滑油の使用で発熱と摩耗を抑制
- 表面硬化処理がある場合、先加工工程の選定が重要
アルミニウム(A5052、A6061など)
- 切りくずが絡まりやすいためシャープな刃先が有効
- 粘性が高いため、低摩擦コーティング工具が有効
- 高速回転に強く、高速切削で面粗度を確保
ステンレス(SUS304、SUS316)
- 熱伝導率が低いため発熱しやすく工具摩耗が早い
- 低速・低送りでじっくり削るのが基本
- チッピングを防ぐために高剛性工具が推奨される
銅・黄銅
- 軟らかく、バリが出やすいため仕上げ刃物の調整が重要
- ツールマークが出やすいので精密加工向け工具を使用
- 切削性は良好だが、切りくず処理に注意
5. まとめ:最適な旋盤加工を実現するには?
NC旋盤と汎用旋盤にはそれぞれの強みがあり、生産形態や加工要求に応じて使い分けることが重要です。
また、切削工具の適切な選定と素材に応じた切削条件の設定は、品質・コストの両立に直結します。
京都機械商事では、NC旋盤・汎用旋盤の両方に対応し、多品種少量から量産まで最適な加工体制を提供しております。
切削工具の選定や素材ごとの加工ノウハウも豊富に持っており、お客様の仕様・要求に合わせた最適提案が可能です。
お問い合わせはこちら
加工のご相談やお見積もり依頼は、お気軽に京都機械商事までご連絡ください。
高品質・短納期・低コストの旋盤加工をご提案いたします。