【完全解説】複合加工機とは?旋盤・NC旋盤との違いから導入メリットまで徹底解説|京都機械商事

※本記事は京都機械商事が提供する実践的な加工ノウハウと導入支援実績をもとに執筆しています。
はじめに:なぜ今「複合加工機」が注目されているのか?
近年、製造業を取り巻く環境は急速に変化しています。人手不足、リードタイム短縮、品質向上、設備スペースの制約
――これらすべての課題を同時に解決する手段として注目されているのが、複合加工機(複合旋盤)です。
従来の加工現場では、旋盤・マシニングセンタ・フライス盤など複数の機械を使い、工程ごとに段取り替えを行っていました。
しかし、複合加工機は1台で複数の加工工程を完了できるため、作業効率・加工精度・省スペース・人件費削減など、多くのメリットをもたらします。
目次
- 複合加工機とは?基本構造と特徴
- 複合加工機の種類と構成
- 汎用旋盤・NC旋盤・複合加工機の違い
- 複合加工機の主なメリットと導入効果
- 加工できる製品と対応ワーク例
- 複合加工機導入時の注意点と選定ポイント
- 京都機械商事の複合加工対応力
- まとめ|工程集約・高精度加工の鍵は複合加工機
1. 複合加工機とは?基本構造と特徴
複合加工機とは、旋削・フライス・穴あけ・ねじ切り・研削など、複数の加工を1台で実行できる高機能工作機械です。
正式には「数値制御複合加工機(CNC Multi-Tasking Machine)」とも呼ばれ、従来の機械加工の常識を覆す存在として注目されています。
従来は、以下のように各工程ごとに専用の機械が必要でした:
- 旋盤での円筒加工
- フライス盤による溝加工
- 穴あけ用のボール盤
これらをすべて1台でこなすことができるのが、複合加工機の最大の特徴です。
加工精度の確保や段取り作業の省略といった効果も期待できます。
複合加工機は、主に以下の3つの要素から成り立ちます:
- 旋削機能(Turning)
- ミーリング機能(Milling)
- 工具自動交換機能(ATC)
そのため「1チャック加工」とも呼ばれるように、素材を一度機械に取り付けるだけで、全加工が完了するのです。

2. 複合加工機の種類と構成
複合加工機は、ベースとなる構造によって以下のように分類されます。
● 旋盤ベースの複合加工機
- 主軸が素材を回転させながら切削
- 円筒形状や回転対称物の加工に強い
- フライス加工ユニットが横方向からアプローチ
● マシニングセンタベースの複合加工機
- 素材は固定、工具主軸が回転
- 平面加工や多面加工に適している
- ツールマガジン搭載で多種類の加工が可能
選定の際には、自社の製品が「回転対称物中心」か「立体形状中心」かを見極めることが重要です。
また、5軸制御タイプの複合加工機も存在し、1台で高精度な自由曲面加工が可能となります。
3. 汎用旋盤・NC旋盤・複合加工機の違い
比較項目 | 汎用旋盤 | NC旋盤 | 複合加工機 |
---|---|---|---|
操作方法 | 職人が手動操作 | プログラム制御 | 多軸・多工程自動制御 |
加工範囲 | 旋削のみ | 高精度旋削 | 旋削+ミーリング+穴あけ等 |
精度 | 中〜高 | 高 | 非常に高い |
工程集約 | なし | 一部可能 | フル工程集約 |
自動化対応 | 低 | 中 | 非常に高い |
複合加工機はNC旋盤の進化形とも言える存在であり、1台でほぼすべての金属加工工程をこなすことが可能です。
4. 複合加工機の主なメリットと導入効果
● 工程集約によるリードタイム短縮
複数の工程を1台で完了できるため、段取りやワーク移動が不要。
リードタイムを従来の半分以下に短縮することも可能です。
● 加工精度の向上
ワークの着脱回数が減るため、芯ズレ・誤差の発生リスクを大幅に抑制。
高精度が要求される精密部品の加工にも最適です。
● 人件費削減・省人化
加工中に他の作業ができるため、1人で複数台を管理可能。
また、無人運転時間の延長により夜間稼働や自動運転化にも対応。
● 設備スペースの削減
複数台分の機能を1台に集約するため、工場レイアウトの最適化・スペース有効活用にもつながります。

5. 加工できる製品と対応ワーク例
複合加工機で加工される代表的な部品には、以下のようなものがあります。
製品名 | 用途 | 加工内容 |
---|---|---|
ドライブシャフト | 自動車 | 旋削+ミーリング+キー加工 |
ポンプカバー | 油圧機器 | 穴あけ+ネジ加工+側面加工 |
精密ハウジング | 航空・医療 | 偏心穴+面取り+内径仕上げ |
バルブ部品 | 半導体・化学 | 外径+溝加工+横穴 |
6. 複合加工機導入時の注意点と選定ポイント
◆ 導入前に確認すべきポイント
- 加工するワークの材質と形状
- 一貫加工の対象範囲(荒加工〜仕上げ)
- スペース・電源容量・オペレータスキル
◆ 機種選定のコツ
- Y軸対応の有無(偏心加工が必要か?)
- 副主軸付きかどうか(裏面加工に対応するか?)
- 工具本数・ATC容量
- 制御装置のメーカー・互換性
7. 京都機械商事の複合加工対応力
当社、京都機械商事では、中国本社と日本法人(京都営業所)が密接に連携し、複合加工機を活用した高精度な部品加工を提供しています。
✔ 当社の強み
- 中国本社の高性能NC機群と熟練技術者による一貫加工体制 長年の実績を誇る中国本社には、多軸・多機能のNC複合加工機を多数導入。
これにより、旋削・フライス・穴あけなど複雑な加工を高精度で一貫対応可能です。 - 日本国内での検査体制 出荷前には、京都営業所にて日本の品質基準に沿った厳格な検査を実施しています。
検査は、経験豊富な検査員によるダブル検査体制を採用しており、以下の装置で多角的に確認を行います:- 三次元測定器(形状・寸法精度の高精度確認)
- 画像測定器(微細部の視覚的検証)
- 止まり・通りゲージ(JIS規格公差基準に基づいた適合検査)
- 日本語図面・仕様に完全準拠した加工対応 日本のお客様からの日本語図面・工程指示書に100%準拠した加工が可能です。翻訳・解釈ミスを防ぐため、社内には日中両言語に精通したスタッフが常駐しています。
- 小ロット〜量産まで柔軟に対応 試作品1個から月産1,000個以上の量産まで、工程設計から品質管理、納品まで一貫して対応。製造業・装置メーカー・開発部門など、多様なニーズに応じた体制を整えております。
8. まとめ|工程集約・高精度化を実現する複合加工機の力
複合加工機は、現代の製造業が抱える課題—人材不足、生産効率、品質安定、スペース確保—を一気に解決できる強力なツールです。特に工程の集約による効率化や精度の安定は、多くの業界で注目されています。
資材・調達部門にとっては、適切な設備仕様の理解や、加工対象との適合性を把握することが重要です。
まずは「複合加工機とは何か?」の基礎をしっかりと押さえ、自社にとって最適な加工環境を築く第一歩を踏み出しましょう。
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