2024.08.31 UP

【旋盤加工入門】台形ネジの旋盤加工方法とポイント|京都機械商事

台形ネジは、工作機械や産業機械、自動化装置などで頻繁に使用される重要部品です。
精度や耐久性が求められるため、加工には高い技術力が必要です。
この記事では、旋盤加工の基礎から台形ネジや送りねじのNC長尺旋盤加工の方法とポイント、さらに特注ネジや黄銅ナットの加工まで幅広く解説します。
京都機械商事の長年の加工経験を活かした実践的な知識をまとめ、初心者から現場担当者まで役立つ情報をお届けします。


1. 台形ネジ・送りねじの基礎知識

台形ネジはねじ山の断面が台形形状になっており、摩擦抵抗が少なく、強度が高いことが特徴です。
特に送りねじとして多くの工作機械や精密機器に使われます。
トラペゾイダルスレッド(Trapezoidal Thread)とも呼ばれ、国際規格(ISO)やJIS規格に準拠して製造されます。

特徴

  • 摩耗や変形に強い
  • 高荷重下でもスムーズな送りが可能
  • 工作機械や産業装置に広く使用

京都機械商事の取り組み

京都機械商事では、お客様から支給された台形ネジの勘合部品を使用し、検査時に実際の勘合確認を行ってから出荷しています。この取り組みにより、製品精度を保証し、現場でのスムーズな組付けやトラブル防止を実現しています。


2. NC長尺旋盤を用いた台形ネジ加工の基本

2-1. NC長尺旋盤加工とは?

NC長尺旋盤加工は、NC(Numerical Control:数値制御)によって工具や材料の動きを自動制御し、精度の高い切削を行う技術です。
長尺旋盤は特に長い部材の加工に適しており、リードスクリューや長尺ねじなどの製造に欠かせません。

メリット

  • 高精度加工:NC制御により、ピッチや形状誤差を最小限に抑制
  • 安定した品質:長尺部品でも均一な精度を確保
  • 生産性向上:自動化された切削工程により作業効率が高い

NC旋盤加工は、従来の手動旋盤に比べて熟練度に左右されにくく、量産にも適しています。


3. 台形ネジ加工における重要な設定

3-1. 送りねじの設定

送りねじの設定は、ねじのピッチ精度を決定する最も重要な要素です。
NC旋盤では、プログラムで送り速度や回転数を正確に指定し、ねじ山を均一に形成します。

設定ポイント

  • 回転速度と送り速度の同期を取る
  • ピッチに応じてプログラム値を正確に入力
  • 必要に応じて試削を行い微調整

3-2. 工具の選定

台形ネジ加工には、専用のねじ切りバイトが必要です。ねじ山角度(29°や30°など)に応じた工具を選ぶことで、正確な形状を実現します。

工具選定のチェックリスト

  • 刃先角度の確認
  • 工具材質(超硬合金やハイス鋼など)
  • 加工材に応じたコーティングの有無

3-3. 切削条件の設定

切削速度や送り量は、加工材質や工具の摩耗度合いに大きく影響します。特に台形ネジはねじ山が深くなるため、無理な切削条件は避ける必要があります。

推奨条件

  • 切削速度:20〜80m/min(材質により調整)
  • 切込み:1回あたり0.1〜0.3mm程度から徐々に加工
  • 切削液:冷却・潤滑を重視

4. 加工トラブルと対策

トラブル主な原因対策
ネジ山不均一工具摩耗・取り付け不良工具交換・調整、試削確認
切削面荒れ過度な切削速度条件最適化、工具研磨
精度ばらつきチャック不良・ワーク変形芯押台・定心具で補正

5. 特注台形ネジの製作と依頼のポイント

5-1. 特注ネジを依頼する際の流れ

  1. 図面の準備:ピッチ、ねじ山角度、全長など詳細寸法を明記
  2. 材質の選定:鉄、ステンレス、黄銅など用途に合わせて選ぶ
  3. 加工業者の選定:長尺加工や精密加工が得意な業者を探す
  4. 見積依頼:数量や納期を明記
  5. 試作・検証:量産前に試作で品質確認

5-2. 注意点

  • 標準規格にない寸法は納期・コストに影響
  • 精度や使用環境を明確に伝える
  • NC旋盤設備や長尺加工対応可否を事前確認

6. 黄銅の台形めねじ(ナット)加工方法

黄銅は耐摩耗性・耐食性に優れ、台形ネジやナットに適した素材です。
加工しやすい反面、バリが出やすいなどの注意点があります。

6-1. 加工手順

  1. 黄銅丸棒を旋盤にセット
  2. 外径加工で下準備
  3. 内径をボーリング加工で仕上げ
  4. 専用ねじ切り工具でめねじ加工
  5. 仕上げ・面取り・バリ取り

6-2. 注意点

  • 切削速度をやや高めに設定し効率化
  • 切削液を多用し摩耗防止
  • めねじ加工後はゲージでピッチ精度確認

7. 台形ネジ加工における最新トレンド

近年、台形ネジ加工にはCNC制御技術の進化により以下のような改善が進んでいます:

  • 高精度なサーボ制御によるピッチ精度向上
  • CAD/CAM連携によるプログラム自動生成
  • 切削工具の高耐久コーティング化
  • IoT活用による加工データの可視化・分析

これらにより、従来難しかった長尺品や特殊ピッチの高精度加工が容易になっています。


8. 京都機械商事の強み

京都機械商事は、創業以来培ってきた精密加工技術を基に、お客様に信頼される高品質な台形ネジ・送りねじを提供しています。

  • 徹底した検査体制:寸法測定器、ピッチ測定機、表面粗さ計などを用い、加工後は必ず検査を実施。
              さらに、お客様から支給いただいた勘合部品を使用し、勘合確認を行った上で出荷しています。
  • 高精度NC設備:最新のNC長尺旋盤を導入し、長尺・大径・高精度のネジ加工に対応。
  • 多品種少量対応:特注品や一品製作にも柔軟対応し、試作から量産までサポート。
  • 加工データ管理:加工条件や測定データをデジタル管理し、再現性・安定品質を確保。
  • 納期・コスト対応:現場の生産管理システムを最適化し、短納期・コストバランスを実現。

台形ネジや特殊ねじの製作・加工に関しても豊富な実績があり、設計から製作までトータルサポートが可能です。


まとめ

台形ネジの旋盤加工は、送りねじや駆動部品などの精度を左右する重要な加工技術です。
本記事で紹介したNC長尺旋盤の特徴、工具・切削条件の選定、加工トラブルの防止策、特注ネジの依頼方法などを押さえることで、より高品質なネジ製作が可能となります。

京都機械商事は、台形ネジや特殊ねじ加工をはじめ、部品調達・組立・表面処理まで対応可能な総合加工パートナーです。
お困りの案件やお見積りのご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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