2024.09.23 UP

公差とは?種類と役割・JIS規格・注意点を徹底解説|京都機械商事

金属加工や機械設計の現場で、「公差とは何か?」「どのように設定すべきか?」を正しく理解していることは、製品の品質とコストを最適化する上で非常に重要です。
特に精密加工・試作・量産などを扱う京都機械商事では、公差管理の正確さが製品の信頼性を決定する要素となります。

本記事では、公差の基本概念から寸法公差・幾何公差の違い、JIS規格、実務上の注意点、コストとの関係までを体系的に解説します。
品質を守りながらコストを抑える「最適な公差設定」の考え方を、実例を交えて詳しくご紹介します。


公差とは?基本概念と重要性

 公差の定義

公差(Tolerance)とは、設計上の基準寸法に対して、実際に製造される部品で許容される誤差の範囲を示します。
例えば図面に「10.00 ± 0.05mm」と指示されている場合、製品寸法が9.95~10.05mmの範囲であれば合格とされます。

この「許容差」を定義することで、製造の再現性と品質保証を両立することができます。


なぜ公差が必要なのか

機械加工や金属加工では、温度変化、工具摩耗、材料のばらつきなどにより、完全に同一の寸法を再現することは不可能です。
そこで、公差を設けることで「許容できるズレ」を設計段階で明確化し、品質とコストのバランスを取ります。

過剰に厳しい公差 → 加工コストが上昇
緩すぎる公差 → 組立不良・機能不良のリスク

公差設定とは、「品質とコストを最適化するための設計判断」なのです。


寸法公差の種類と表記方法

寸法公差とは?

寸法公差は、長さ・直径・厚みなどの寸法値に対して許容される誤差を表します。
部品加工の中で最も基本的な公差であり、機械部品すべてに必須の要素です。

 一般公差(普通許容限界)

図面に個別指示がない場合、JIS B 0405(一般公差)に従い一律の許容範囲を適用します。
これを一般公差
と呼び、図面の簡素化と標準化に役立ちます。

精度等級 記号 寸法範囲(mm) 許容差(mm)
粗級 f 6以下 ±0.3
中級 m 6〜30 ±0.1
精級 c 6〜30 ±0.05
極精級 v 3以下 ±0.02

京都機械商事では、お客様の図面要件に応じて最適な公差等級を提案し、加工精度とコストの両立を図っています。


個別公差(指定公差)

特定の箇所で高い精度が求められる場合には、個別に公差を設定します。
代表的な表記方法は以下の通りです。

  • 両側公差:50( ± 0.02) → 49.98〜50.02mm

  • 片側公差:50 (+0.05 / 0 )→ 50.00〜50.05mm

  • 上下限公差:49.98〜50.02 のように直接表記

このように明示的な指示により、重要部位の精度保証が可能になります。


 はめあい公差(軸と穴の組み合わせ)

軸と穴の間のすきま・締まり具合を管理する公差を「はめあい公差」と呼びます。
用途により以下の3種類に分かれます。

はめあい種類 特徴 用途例
しまりばめ(H7/p6) 軸が大きく強固に圧入される ベアリング内輪、プーリー固定
すきまばめ(H7/g6) 軸が小さく容易に挿入できる 回転軸、スライド機構
中間ばめ(H7/k6) 軽い圧力で挿入 位置決めピン、カップリング

京都機械商事では、用途に応じた最適なはめあい公差を設計段階からサポートしています。


幾何公差の種類と記号

 幾何公差とは?

幾何公差(Geometrical Tolerance)は、部品形状や位置関係の精度を保証するための公差です。
寸法公差では表せない「形・傾き・位置・振れ」を定義し、機能面での安定性を確保します。


代表的な幾何公差一覧

記号 公差名 制御対象
真直度 直線の曲がり具合
平面度 平面の凹凸
真円度 円の真円からのずれ
位置度 理論位置からのずれ
平行度 データム面に対するずれ
直角度 直角の誤差
傾斜度 指定角度からのずれ
同心度 軸中心のずれ
全振れ 回転体の振れ

これらはJIS B 0021(幾何公差)に基づいており、京都機械商事では3次元測定機による幾何公差検査にも対応しています。


公差設定と製造コストの関係

公差を厳しくするとコストが上がる理由

加工精度を高めるほど、

  • 高性能な機械

  • 高精度治具・測定器

  • 加工時間の延長

が必要となり、コストが急上昇します。
一般に、公差を10分の1にすると加工コストは3〜5倍に増加します。

京都機械商事では、「機能を満たす最小限の公差」を提案し、高精度と低コストの両立を実現しています。


公差積み上げと組立精度

複数部品を組み立てる際、それぞれの公差が積み上がる現象を公差の累積(公差積み上げ)と呼びます。
組立誤差を最小限にするためには、以下の工夫が重要です。

  • 寸法鎖の最適化

  • データム(基準面)の統一

  • 統計的公差解析(RSS法)

  • 幾何公差の適用

これにより、組立精度と生産性を高めることが可能です。


実務で役立つ公差管理のポイント

✅ 図面設計時

  • 機能に直結する寸法には個別公差

  • その他の寸法には一般公差を適用

  • 寸法公差+幾何公差を組み合わせることで形状精度を保証

✅ 加工現場での確認

  • デジタルキャリパー、マイクロメータ、CMM(三次元測定機)で測定

  • 検査結果を記録して品質保証書として提出

✅ 調達・品質管理

  • 協力工場の加工精度を事前確認

  • 材料特性・加工方法に基づいた現実的な公差設定を行う

  • 納品後の測定結果を比較し、継続的に精度改善

京都機械商事では、中国本社工場が連携し、JIS規格準拠の公差管理体制を構築しています。
すべての部品について「図面確認 → 加工 → 三次元測定 → 検査データ提出」までをワンストップで対応。
これにより、高精度・短納期・低コストの部品供給を実現しています。


まとめ|最適な公差設計・管理なら京都機械商事へ

公差は、設計と製造をつなぐ「共通言語」であり、品質・コスト・納期を左右する最重要項目です。
寸法公差・幾何公差の適切な理解と運用により、機能を確保しつつ経済的な生産が可能になります。


京都機械商事の公差管理対応

✅ 寸法公差指示無きJIS規格準拠の中級公差対応
✅ 試作~量産まで、全工程で公差管理を徹底
✅ 三次元測定・検査データ提出対応
✅ 日本本社+中国本社工場の連携による高品質・短納期・低コスト対応

公差設定や加工精度でお困りの際は、ぜひ京都機械商事へご相談ください。
最適な加工方法とコスト設計をご提案いたします。

📩 お問い合わせはこちら →お問い合わせください

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