公差とは?種類と役割・JIS規格・注意点を徹底解説|京都機械商事
金属加工や機械設計の現場で、「公差とは何か?」「どのように設定すべきか?」を正しく理解していることは、製品の品質とコストを最適化する上で非常に重要です。
特に精密加工・試作・量産などを扱う京都機械商事では、公差管理の正確さが製品の信頼性を決定する要素となります。
本記事では、公差の基本概念から寸法公差・幾何公差の違い、JIS規格、実務上の注意点、コストとの関係までを体系的に解説します。
品質を守りながらコストを抑える「最適な公差設定」の考え方を、実例を交えて詳しくご紹介します。
公差とは?基本概念と重要性
公差の定義
公差(Tolerance)とは、設計上の基準寸法に対して、実際に製造される部品で許容される誤差の範囲を示します。
例えば図面に「10.00 ± 0.05mm」と指示されている場合、製品寸法が9.95~10.05mmの範囲であれば合格とされます。
この「許容差」を定義することで、製造の再現性と品質保証を両立することができます。
なぜ公差が必要なのか
機械加工や金属加工では、温度変化、工具摩耗、材料のばらつきなどにより、完全に同一の寸法を再現することは不可能です。
そこで、公差を設けることで「許容できるズレ」を設計段階で明確化し、品質とコストのバランスを取ります。
過剰に厳しい公差 → 加工コストが上昇
緩すぎる公差 → 組立不良・機能不良のリスク
公差設定とは、「品質とコストを最適化するための設計判断」なのです。
寸法公差の種類と表記方法
寸法公差とは?
寸法公差は、長さ・直径・厚みなどの寸法値に対して許容される誤差を表します。
部品加工の中で最も基本的な公差であり、機械部品すべてに必須の要素です。
一般公差(普通許容限界)
図面に個別指示がない場合、JIS B 0405(一般公差)に従い一律の許容範囲を適用します。
これを一般公差と呼び、図面の簡素化と標準化に役立ちます。
精度等級 | 記号 | 寸法範囲(mm) | 許容差(mm) |
---|---|---|---|
粗級 | f | 6以下 | ±0.3 |
中級 | m | 6〜30 | ±0.1 |
精級 | c | 6〜30 | ±0.05 |
極精級 | v | 3以下 | ±0.02 |
京都機械商事では、お客様の図面要件に応じて最適な公差等級を提案し、加工精度とコストの両立を図っています。
個別公差(指定公差)
特定の箇所で高い精度が求められる場合には、個別に公差を設定します。
代表的な表記方法は以下の通りです。
-
両側公差:50( ± 0.02) → 49.98〜50.02mm
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片側公差:50 (+0.05 / 0 )→ 50.00〜50.05mm
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上下限公差:49.98〜50.02 のように直接表記
このように明示的な指示により、重要部位の精度保証が可能になります。
はめあい公差(軸と穴の組み合わせ)
軸と穴の間のすきま・締まり具合を管理する公差を「はめあい公差」と呼びます。
用途により以下の3種類に分かれます。
はめあい種類 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
しまりばめ(H7/p6) | 軸が大きく強固に圧入される | ベアリング内輪、プーリー固定 |
すきまばめ(H7/g6) | 軸が小さく容易に挿入できる | 回転軸、スライド機構 |
中間ばめ(H7/k6) | 軽い圧力で挿入 | 位置決めピン、カップリング |
京都機械商事では、用途に応じた最適なはめあい公差を設計段階からサポートしています。
幾何公差の種類と記号
幾何公差とは?
幾何公差(Geometrical Tolerance)は、部品形状や位置関係の精度を保証するための公差です。
寸法公差では表せない「形・傾き・位置・振れ」を定義し、機能面での安定性を確保します。
代表的な幾何公差一覧
記号 | 公差名 | 制御対象 |
---|---|---|
― | 真直度 | 直線の曲がり具合 |
□ | 平面度 | 平面の凹凸 |
○ | 真円度 | 円の真円からのずれ |
⊕ | 位置度 | 理論位置からのずれ |
∥ | 平行度 | データム面に対するずれ |
⊥ | 直角度 | 直角の誤差 |
∠ | 傾斜度 | 指定角度からのずれ |
⌖ | 同心度 | 軸中心のずれ |
⌯ | 全振れ | 回転体の振れ |
これらはJIS B 0021(幾何公差)に基づいており、京都機械商事では3次元測定機による幾何公差検査にも対応しています。
公差設定と製造コストの関係
公差を厳しくするとコストが上がる理由
加工精度を高めるほど、
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高性能な機械
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高精度治具・測定器
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加工時間の延長
が必要となり、コストが急上昇します。
一般に、公差を10分の1にすると加工コストは3〜5倍に増加します。
京都機械商事では、「機能を満たす最小限の公差」を提案し、高精度と低コストの両立を実現しています。
公差積み上げと組立精度
複数部品を組み立てる際、それぞれの公差が積み上がる現象を公差の累積(公差積み上げ)と呼びます。
組立誤差を最小限にするためには、以下の工夫が重要です。
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寸法鎖の最適化
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データム(基準面)の統一
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統計的公差解析(RSS法)
-
幾何公差の適用
これにより、組立精度と生産性を高めることが可能です。
実務で役立つ公差管理のポイント
✅ 図面設計時
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機能に直結する寸法には個別公差
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その他の寸法には一般公差を適用
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寸法公差+幾何公差を組み合わせることで形状精度を保証
✅ 加工現場での確認
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デジタルキャリパー、マイクロメータ、CMM(三次元測定機)で測定
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検査結果を記録して品質保証書として提出
✅ 調達・品質管理
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協力工場の加工精度を事前確認
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材料特性・加工方法に基づいた現実的な公差設定を行う
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納品後の測定結果を比較し、継続的に精度改善
京都機械商事では、中国本社工場が連携し、JIS規格準拠の公差管理体制を構築しています。
すべての部品について「図面確認 → 加工 → 三次元測定 → 検査データ提出」までをワンストップで対応。
これにより、高精度・短納期・低コストの部品供給を実現しています。
まとめ|最適な公差設計・管理なら京都機械商事へ
公差は、設計と製造をつなぐ「共通言語」であり、品質・コスト・納期を左右する最重要項目です。
寸法公差・幾何公差の適切な理解と運用により、機能を確保しつつ経済的な生産が可能になります。
京都機械商事の公差管理対応
✅ 寸法公差指示無きJIS規格準拠の中級公差対応
✅ 試作~量産まで、全工程で公差管理を徹底
✅ 三次元測定・検査データ提出対応
✅ 日本本社+中国本社工場の連携による高品質・短納期・低コスト対応
公差設定や加工精度でお困りの際は、ぜひ京都機械商事へご相談ください。
最適な加工方法とコスト設計をご提案いたします。
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