S45CとSS400の材質違いによる硬度・加工性の違いとは?|異材トラブルを防ぐポイントも解説
海外からの金属加工部品の調達において、よくあるトラブルの一つが「材質違い(異材)」です。
中でも、S45CとSS400を誤って使用されたケースは非常に多く、見た目が似ていても、性能・硬度・熱処理性が大きく異なるため、製品不良につながるリスクが高い材質ミスです。
この記事では、S45CとSS400の違いについて詳しく解説し、なぜS45Cには硬度が入るのか?SS400では代用できないのか? 分かりやすく説明します。
🔧 S45Cとは?|熱処理によって高い硬度を得られる炭素鋼
S45C(機械構造用炭素鋼)は、中炭素鋼(C=約0.45%)に分類され、機械部品や金型部品など、強度と耐摩耗性を求められる場面でよく使われる材料です。
✅ 特徴:
- 熱処理(焼入れ・焼戻し)により、高い硬度(HRC 50前後)が得られる
- 加工後に研磨・精密仕上げも可能
- 強度と靱性のバランスがよく、シャフトやピンに最適
✅ 主な用途:
- 自動車部品
- 産業機械の軸部品
- 金型構造部
✅ 熱処理後の硬度目安(HRC):
- 焼入れ+焼戻し:45~55HRC
SS400とは?|硬度は得られない汎用鋼材
一方、SS400(一般構造用圧延鋼材)は、低炭素鋼(C=約0.05~0.25%)で、溶接性や加工性に優れる反面、熱処理による硬化性は非常に乏しい材料です。
❌ 熱処理しても硬度が上がらない理由:
- 炭素量が少ないため、焼入れ効果が発現しない
- マルテンサイト化しないため、硬度は上がらず変形・割れのリスクだけ高まる
- 構造用途が前提のため、耐摩耗部品などには不向き
実際の硬度目安:
- 冷間圧延材:約120~150HV(=約10~15HRC相当)
- 熱処理しても変化ほとんどなし
材質違いによるトラブル事例|S45C指定 → SS400納品で発覚
トラブル例:
「焼入れ硬度HRC50指定でS45Cを発注したが、届いた製品は熱処理後も柔らかい」
→ 実はSS400で加工・熱処理されており、硬度が全く入っていなかった。
このように、材質違いによって性能不足が起きると、部品の早期摩耗・破損・事故原因にもつながりかねません。
異材トラブルを防ぐためのポイント
✅ 1. 材質記載は明確に(図面+注文書の両方に)
- 「S45C調」「炭素鋼」などのあいまい表記はNG
- JIS規格や材質記号を明記(例:JIS G4051 S45C)
✅ 2. 材質証明書(ミルシート)の取得を徹底
- 製品納入時に材料証明書の提出を義務付ける
- 可能であれば材質検査(成分分析・硬度検査)も実施
✅ 3. 信頼できる調達ルートの確保(海外工場との意思疎通)
- 日本語対応可能なスタッフを通じた確認
- 図面・仕様書の翻訳精度にも注意が必要
京都機械商事の対応力:材質ミスを防ぐ体制とは?
京都機械商事では、中国本社工場と日本営業所が一体となって品質管理を徹底しています。
安心のポイント:
- 材質確認は日本側でダブルチェック
- 材料証明書・熱処理証明書の提出が可能
- 図面指示の明確化と翻訳対応により、S45C・SS400などの異材トラブルを未然に防止
まとめ:S45CとSS400の違いを正しく理解し、安全な海外調達を
項目 | S45C | SS400 |
---|---|---|
炭素含有量 | 中炭素鋼(約0.45%) | 低炭素鋼(約0.15%) |
硬度(処理後) | 45~55HRC(熱処理後) | 上がらない(処理しても変化少) |
主な用途 | シャフト、ピン、機械部品 | フレーム、構造材、ベース板 |
焼入れ可能性 | あり(高硬度可能) | なし(熱処理に不向き) |
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