2024.10.22
マシニング加工とは、マシニングセンタの種類や特徴を解説
マシニング加工とは、切削工具を用いて金属やプラスチックなどの素材を削り、特定の形状を作り出す加工方法を指します。特に、CNC(コンピュータ数値制御)マシンが使用されることが一般的で、高精度かつ効率的に部品を製造できます。
主な特徴
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高精度
精密部品の製造に適しており、ミクロン単位での寸法精度を達成可能です。 -
多様な素材に対応
金属(アルミニウム、ステンレス、チタンなど)、プラスチック、木材など、さまざまな素材を加工できます。 -
複雑な形状の製作
5軸マシニングセンターなどの先進的な機械を用いることで、複雑な3D形状の加工も可能です。 -
繰り返し性の高さ
同一部品を大量生産する場合でも、精度を保ちながら一貫した品質を実現します。
使用される機械
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CNCマシニングセンター
コンピュータ制御による高精度な切削加工を行う装置。 -
3軸/5軸加工機
複雑な形状を加工するために、工具が3~5方向に動く機械。 -
旋盤(Lathe)
円筒形の部品製造に特化した加工機。
メリットとデメリット
メリット
- 高精度かつ高品質
- 複雑な形状の加工が可能
- 自動化による作業効率の向上
デメリット
- 初期設備費用が高い
- 小ロット生産ではコストが高くなりがち
- 素材により加工難度が異なる
マシニング加工の方法は、使用する機械や目的に応じてさまざまですが、以下に主要な加工方法を解説します。
1. フライス加工 (Milling)
- 概要: 回転する工具(エンドミルやフライスカッター)を使って、素材を削る方法です。平面加工や溝加工、ポケット加工に適しています。
- 用途: 機械部品の平面、溝、穴加工。
- 特徴:
- 多軸マシニングセンターを用いることで複雑な形状の加工が可能。
- 素材を固定し、工具が回転して削り出す。
2. 旋盤加工 (Turning)
- 概要: 円筒形の素材を回転させ、固定した工具(バイト)で削る方法です。
- 用途: 円筒形部品(シャフト、ボルトなど)の製造。
- 特徴:
- 素材が回転することで均一な加工が可能。
- 内径加工(ボーリング)や外径加工が行える。
3. 穴あけ加工 (Drilling)
- 概要: ドリル工具を使用して素材に穴を開ける加工方法です。穴を深くしたり広げたりする際に使用する方法もあります。
- 主な加工手法:
- ドリリング: 単純な穴あけ。
- リーミング: 穴を拡大して仕上げる。
- タッピング: ねじ山を作る。
4. 5軸加工
- 概要: 通常の3軸(X, Y, Z)に加え、回転軸(A, B)を備えた加工方法。工具がさまざまな方向からアクセスできるため、複雑な形状が削り出せます。
- 用途: 航空宇宙部品、自動車部品、医療用部品など、曲面や多面加工が必要な製品。
- 特徴:
- ワンチャッキングで多面的な加工が可能。
- 高精度な加工。
5. 研削加工 (Grinding)
- 概要: 砥石を用いて、素材の表面を高精度に削る仕上げ加工。
- 用途: 表面の平滑化、精密部品の製造。
- 特徴:
- 高い寸法精度と滑らかな表面仕上げ。
- 主に硬い素材や仕上げが必要な場合に利用。
6. ワイヤー放電加工 (Wire EDM)
- 概要: 電極線を用いて、電気放電によって素材を切断する方法。
- 用途: 複雑な形状や細かい切断が必要な金型製作など。
- 特徴:
- 切削では不可能な形状が加工可能。
- 素材への熱影響が少ない。
7. 面取り・仕上げ加工
- 概要: 素材のエッジを滑らかにしたり、仕上げ加工を行う方法。
- 用途: 角のバリ取り、組み立てしやすくするための加工。
- 特徴:
- 精密部品に必要不可欠。
- 面取り用の専用工具を使用することが多い。
マシニング加工の基本プロセス
- CADデザイン: コンピュータで部品形状を設計。
- CAMプログラミング: 加工工程をシミュレーションしてNCデータを作成。
- 機械へのセットアップ: 素材を機械に固定し、工具を準備。
- 加工: プログラムに基づき機械が自動で作業。
- 仕上げと検査: 加工部品の寸法や表面仕上げを確認。
マシニングセンタは、用途や構造に応じてさまざまな種類があります。以下に、主要な種類とそれぞれの特徴をまとめました。
1. 立形マシニングセンタ(Vertical Machining Center, VMC)
- 構造: 主軸が垂直方向に配置されているタイプ。
- 特徴:
- 加工範囲: 主に平面加工や簡単な形状加工に適している。
- 利便性: 作業者が加工状況を目視しやすく、操作が比較的簡単。
- コスト: 横形に比べて比較的安価。
- 用途: 機械部品、金型の製造。
- 利点:
- セットアップが簡単。
- 小型部品や中型部品の加工に最適。
- 欠点:
- チップ(切削くず)の排出が困難な場合がある。
2. 横形マシニングセンタ(Horizontal Machining Center, HMC)
- 構造: 主軸が水平方向に配置されているタイプ。
- 特徴:
- 加工範囲: 側面や多面加工がしやすい。
- チップ排出性: 重力で切削くずが自然に排出されるため、加工効率が高い。
- 用途: 自動車部品やエンジン部品など、大型で複雑な形状の加工。
- 利点:
- 高い剛性と安定性。
- 多面加工が容易。
- 欠点:
- 立形に比べて導入コストが高い。
- 設置スペースが大きい。
3. 5軸マシニングセンタ(5-Axis Machining Center)
- 構造: X, Y, Z軸に加え、回転軸(A軸、B軸)を備えており、工具が複数方向に動けるタイプ。
- 特徴:
- 加工範囲: 複雑な曲面加工や3D形状の加工に対応。
- 高精度: ワンチャッキングで多面的な加工が可能。
- 用途: 航空宇宙部品、医療用インプラント、自動車の精密部品。
- 利点:
- 部品の精度向上。
- セットアップ回数の削減。
- 欠点:
- 操作・プログラミングが複雑。
- 導入・運用コストが高い。
4. 門形マシニングセンタ(Gantry Machining Center)
- 構造: 主軸が門型のフレームに設置されており、大型の素材を加工可能。
- 特徴:
- 加工範囲: 大型部品や平板の加工に特化。
- 剛性: 大きな負荷にも耐える。
- 用途: 造船業、大型機械部品、建設機械部品。
- 利点:
- 大型ワークピースの加工に最適。
- 高い剛性による精度の確保。
- 欠点:
- 設置スペースが大きく、コストが高い。
5. 複合加工マシニングセンタ(Mill-Turn Machining Center)
- 構造: フライス加工と旋盤加工の両方が可能なタイプ。
- 特徴:
- 加工範囲: 旋削加工(円筒形加工)と切削加工を一台で実現。
- 効率性: 工程の一元化により加工時間を短縮。
- 用途: 多機能な加工が必要な部品(例:エンジン部品)。
- 利点:
- 複雑な部品を一度のセットアップで完成させられる。
- 工程間の精度維持が容易。
- 欠点:
- 機械構造が複雑で、運用コストが高い。
6. 高速加工マシニングセンタ(High-Speed Machining Center)
- 構造: 高速回転可能な主軸を備え、軽量部品の加工に特化。
- 特徴:
- 加工速度: 高い送り速度と主軸回転数で効率的に加工。
- 用途: 電子機器、航空宇宙部品、金型。
- 精度: 微細加工や滑らかな仕上げに優れる。
- 利点:
- 生産性の向上。
- 表面仕上げが優秀。
- 欠点:
- 加工素材に制限がある(軽量で比較的軟らかい素材向け)。
7. 卓上マシニングセンタ(Desktop CNC)
- 構造: 小型で、主に試作や教育用に使われる。
- 特徴:
- 用途: 小型部品の試作やDIY、技術教育。
- 利点: コストが低く、設置スペースが少ない。
- 欠点: 加工範囲が限定的。
マシニングセンタについてのまとめ
マシニングセンタを選ぶ際には以下を考慮する必要があります。
- 加工物の大きさと形状
→ 立型が良いか、横型や5軸が必要か判断。 - 加工精度と速度の要求
→ 高精度な試作には5軸、量産には横型が有効。 - 運用コストとスキル
→ 初期コストだけでなく、操作の習熟度やメンテナンス性も重要。 - また、マシニング加工をご依頼する予定の方には、高精度・高品質・短納期が期待できるので、ぜひ一度、京都機械商事へお問い合わせ頂ければ合わせて頑張って行きます。